BL05 産業用分析ビームライン
目的
ニュースバル放射光施設の産業用の分析利用を促進するためにビームラインです。産業界のニーズに対応するため、ニュースバル放射光光源の特長である軟X線領域に特化したXAFS(X線吸収微細構造:NEXAFS,EXAFS)測定、XPS測定用の軟X線分光分析ビームラインです。物質・材料を構成する元素の化学状態・結合状態・隣接原子との距離などが解析できます。
構成
2分岐ビームライン BL05A, BL05B

ミラー・分光器の仕様
BL05Aの光学素子の特性
光学素子 | 型式 | 接線方向半径 (m) |
矢状方向半径 (m) |
被覆材 | 基板 | 大きさ L×W(mm) |
---|---|---|---|---|---|---|
M0 | Toroidal | 418.28±5% | 0.1274±5% | Au | Si | 200×30 |
M1 | Toroidal | 229.2±5% | 0.0698±5% | Au | Si | 200×30 |
BL05Bの光学素子の特性
光学素子 | 型式 | 接線方向半径 (m) |
矢状方向半径 (m) |
被覆材 | 基板 | 大きさ L×W(mm) |
---|---|---|---|---|---|---|
M0 | Sylindrical | 171.9±5% | ∞ | Au | Si | 500×50 |
M1 | Sylindrical | 171.9±3% | ∞ | Au | Si | 300×30 |
M2 | Spherical | 229.2±3% | 229.2±3% | Au | Si | 250×30 |
Mf | Toroidal | 114.6±5% | 0.0611±5% | Au | Si | 250×30 |
Grating | Plane | ∞ | ∞ | Au | Si | 200×30 |
分光器の仕様(詳細)
二結晶分光器
ゴロブチェンコ型二結晶分光器にInSb((111), Si(111)などの結晶を備え、1300-4000 eVをカバーします。取り込み角度は約7 mradです。入射光は前置トロイダルミラーによって平行光にされ、二結晶分光器で分光された光が後置トロイダルミラーで観測点に集光されます。BL05Aでは、全電子収量法とSDD(SⅠⅠ, Vortex)を用いた蛍光収量法によるXAFS測定が可能です。
回折格子分光器
前置集光球面鏡と3枚の不等間隔刻線平面回折格子(VLSPG)を用いた定偏角分光器を備え、50-1300eVをカバーします。BL05Bの取り込み角度は約3 mradです。入射光は第1ミラー(M0:縦置き縦集光円筒鏡)と第2ミラー(M1:横置き横集光円筒鏡)を通り、入射スリット(S1)上に集光されます。S1を通った光は前置集光球面鏡(M2)を通って回折格子で分光され、出射スリット(S2)を通った光が後置鏡(Mf)で観測点に集光されます。
エンドステーション
BL05A
BL05Aでは、全電子収量法とSDD(SII, Vortex)を用いた蛍光収量法によるXAFS測定が可能です。エンドステーションは、Be窓を用いてHe置換により大気圧で測定が可能であり、固体試料のほか、液体試料にも適用できます。最大25×25 mmの大きさの試料を取り付けることができる試料ホルダーを真空内に8個保持することができ、ステッパーモーター駆動で測定位置を変えることができます。
BL05B
BL05BエンドステーションにはXAFS測定用の高真空チャンバーと光電子分光用の超高真空チャンバーの2基が備わっています。各チャンバーの前には差動排気系が設置されており、2つのチャンバーは1時間程度で交換が可能です。XAFS測定は全電子収量法とSSD(EDAX)を用いた蛍光収量法が利用可能です。最大25×25 mmの大きさの試料を取り付けることができる試料ホルダーを真空中で16個保持することができます。測定チャンバー内ではステッパーモーター駆動で制御可能であり、迅速に測定ができます。
X線光電子分光器:電子アナライザー(VG Scienta、R3000)の分解能
電子エネルギー [eV] |
保証された解像度 [meV] |
測定解像度 [meV] |
保証された分解能 | 測定分解能 |
---|---|---|---|---|
2 | 3.0 | 2.2 | 667 | 909 |
5 | 5.0 | 4.4 | 1000 | 1136 |
10 | 10.0 | 8.8 | 1000 | 1136 |
20 | 20.0 | 16.5 | 1000 | 1212 |
試験装置:0.8 mmのキャピラリーを有するScienta GC-50 ガス セル.
Scienta VUV-5000UV-source. キセノン-ガス (純度>90 %).

共用促進
50eV~4,000eV全領域のXAFS(NEXAFS、EXAFS)測定、50~1300eV領域のXPS測定
XAFSは全電子収量法、蛍光収量法による測定が可能です。
合同会社シンクロトロンアナリシスLLCによる測定支援、測定代行により運用します。