平成23年度〜平成25年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)18560046)研究紹介


ビーム不安定性制御による電子蓄積リングの
安定なハイパワーテラヘルツ光源化

 研究代表者:庄司善彦(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所)
 研究分担者:高橋俊晴(京都大学原子炉実験所)
     中村剛、満田史織(高輝度光科学研究センター加速器部門)
     森脇太郎、池本夕佳(高輝度光科学研究センター利用研究促進部門)


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概要
 本課題は、電子蓄積リングからの波長可変テラヘルツ領域放射光の、新しい発生方法の研究である。この方法では垂直キッカー電磁石とクロマティシティー変調を用いて波状のビーム(バンチの先頭から尾部にかけて、重心位置が上下する)を作り、準単色の垂直偏光コヒーレント放射を得る。この方法を振幅変調レーザーを使う方法と比較すると、技術的に遥かに容易で、しかも原理的に高調波成分を持たない特徴がある

研究背景
  電子蓄積リング(Storage Ring:SR)からの放射光利用はEUVからX線が主であり、当初は長波長利用は疑問視されていた。しかし現在では、世界の主要放射光施設のほとんどに赤外・遠赤外のビームラインが設置され、利用波長領域はテラヘルツ(THz)にまで拡大されようとしている[1]。長波長光源としてのSRの利点は、高い放射輝度、干渉性、更に安定性で、これらの性質を利用して赤外分光等に多く用いられる。特にTHz領域では、圧倒的な放射強度を持つコヒーレント放射(Coherent Synchrotron Radiation : CSR)発生が期待できる為、光源加速器研究の重要な課題の一つとなっている。
 現在限られた施設に於いてではあるがSRからのCSRは実用化され、主として擬等時性運転CSRはTHz分光に、不安定性によるバーストCSRはイメージングに用いられている。しかしこれらは従来の放射光利用と両立が困難なため、新たな発生方法が望まれている。その一つは電子ビームと振幅変調レーザーを相互作用させてパルス的に準単色CSRを発生させる方法である。これに対して本件の提案は、電磁石を用いて同様のCSRを発生させる方法である。

発生原理

 キッカー電磁石が励起するベータトロン振動がバンチ内に一時的に波状空間構造を作り出す。図1は波状構造生成のシミュレーション計算例である。更に、この構造が準単色CSR発生光源となる[3]。これが本件の提案である。


主要な発表論文とリンク
[1]